こんにちは!Cloverです。 猫伝染性腹膜炎の治療について調べていると「神経症状があるから薬の量を増やさないといけない」など書かれている記事を目にしたり、病院の先生から指示されることがあるかと思います。
今回は、FIP治療において、神経症状や眼症状で投与量を増やす理由について分かりやすく解説していこうと思います。実はこれはGS-441524だけの話ではなく、モルヌピラビルを含む抗ウイルス治療全般に共通する考え方です。
FIPの病変が発生する部位と体の防御機構が深く関係しているため、症状によって必要な投与量が変わってきます。
FIP治療薬の推奨投与量
猫伝染性腹膜炎は同じ病気であっても、発症する部位によって症状や治療方針、経過が大きく異なります。
Cloverで取り扱いの製品の推奨投与量の目安は以下の通りです。
症状のタイプ | Clover 製品 GS-441524(注射・錠剤) 推奨投与量 | Clover 製品 モルヌピラビル注射 推奨投与量 |
|---|---|---|
| ウェットタイプ | 6 mg/kg | 0.4ml |
| 軽度の眼症状 | 8 mg/kg | 0.6ml |
| 神経症状 / 重度の眼症状 | 10 mg/kg 以上 | 0.8ml |
これは薬の効果に差があるわけではなく、「薬を届けなければならない場所」が異なるためです。 特に神経症状や眼症状では、薬が到達しにくい場所にFIPウイルスが存在するため、より高い血中濃度が必要になります。
神経症状では脳に薬を届ける必要がある
神経型FIPでは、FIPウイルスによる炎症が脳で発生しています。 そのため治療薬は、血液中だけでなく脳にも十分に到達しなければなりません。
しかし、脳には「血液脳関門(Blood-Brain Barrier:BBB)」と呼ばれる特殊な防御機構があります。
BBB(血液脳関門)とは?
BBBは、血液中の有害物質や異物が脳へ侵入することを防ぐための仕組みです。脳は生命維持に重要な器官であるため、体は脳を守るために非常に厳重なバリアを作っています。このバリア(BBB)のおかげで毒素や細菌から脳を守ることができます。一方で、治療薬も脳へ通過しにくくなるという側面があります。
そのため、脳にも十分な治療薬の成分が届けられるように、ウェットタイプよりも高い血中濃度を維持できるよう、投与量を増やして治療を行います。
眼症状でも同じことが起こる
眼症状を伴うFIPでも、同様の考え方が必要です。眼球には「血液眼関門(Blood-Ocular Barrier)」と呼ばれるバリア機能があり、脳の関門と同じように治療薬の移行を制限してしまいます。そのため、ぶどう膜炎などの症状が認められる場合には、薬を十分に眼の組織へ届けるために投与量を増やさなければなりません。
ここで注意したいのが、見た目だけで確認できる“ぶどう膜炎” などの症状有無だけではなく、「瞳孔の動きに左右差はないか」「目の動きはスムーズで、左右均等に動いているか」といったことも同時に確認することが重要になっていきます。
眼球症状のFIPでは、血液眼関門によって薬が届きにくいだけでなく、一部の症例では神経系への病変の広がりを伴うことがあるからです。
瞳孔や目の動きを観察することは、眼だけの病変なのか、それとも視神経や神経系にも影響が及び始めているのかを見極める重要なポイントになります。もし神経系への影響が疑われる場合には、眼症状の用量にとどまらず、神経症状に準じた投与量で治療を継続することが、再発リスクを抑え、より安定した治療につながります。
神経症状・眼症状があっても改善は期待できる
神経症状や眼症状が見られると、「治るのだろうか」と不安になる方も少なくありません。しかし、これらの症状が見られたからといって、必ずしも治療が難しいというわけではありません。
症状に合わせて適切な投与量を選択し、十分な血中濃度を維持しながら治療を継続することが重要です。
Cloverではどの製品を選べば良い?
Curecat Max シリーズ
10mg/kg以上の高用量治療または体重5~6kg以上の症例向けに設計されています。
- 5~6kg以上の高体重
- 神経症状
- 重度の眼症状
- その他、高用量治療が必要な症例
>> Clover 製品情報
>> Curecat Max Tabletの投与量計算方法はこちら
最後に
FIPの症状によって推奨投与量が異なるのは、脳や眼には薬が移行しにくいバリアが存在するため、病変部位へ十分な量の薬を届ける目的で投与量を調整しています。
猫ちゃんの症状や治療経過によって適切な投与量は異なります。少しでも不安なことや判断に迷うことがあれば、お気軽にCloverまでご相談ください。一歩一歩、一緒に乗り越えていきましょう!
Cloverでは「GS-441524」を用いた治療から、耐性/再発の高度な治療ができるように「モルヌピラビル」や「配合剤」まで幅広く取り扱っています。
「どのような製品が良いのか」「今の治療で大丈夫?」「再発してしまった」など
FIPについて気になることがあればいつでも相談ください 🙂
