こんにちは、Cloverです 🙂
前回の記事で、FIP(猫伝染性腹膜炎)の治療中に、GS-441524やモルヌピラビルと他の薬やサプリメントとの併用について解説していきました。どのようなお薬に気をつけた方が良いか知りたいという方は、ぜひ前回の記事を参考にしてみてください。
ブログ記事 >> FIP治療中に他のお薬やサプリメントを併用しても大丈夫? – FIP Clover
その中で、ステロイドについて簡単に説明しましたが、今回は、FIP治療におけるステロイドの正しい役割と、知っておきたい注意点について分かりやすく解説していこうと思います!
ステロイドのFIP治療での役割
ステロイド(副腎皮質ホルモン剤)は、体内の激しい炎症や、過剰に暴走した免疫反応を強力に抑えるお薬です。
FIPを発症したばかりの猫ちゃんは、高熱や食欲不振、貧血、目の濁り、ふらつきなど様々な症状でぐったりしているケースが多くみられます。これらはウイルスに対して体が過剰に免疫反応(炎症)を起こしている状態です。
そのため、症例によっては治療初期の数日間〜1、2週間ほど、一時的に症状を和らげるための補助療法としてステロイドが使用されることがあります。
FIP治療において覚えておきたい重要なこと
ステロイドはFIPを根本から治す薬ではありません。 ステロイドにはFIPウイルスそのものの増殖を抑える作用はないため、症状が見かけ上改善したとしても、体内のウイルスが減っているわけではありません。現在のFIP治療の主役は、あくまでウイルスの増殖を直接止めるGS-441524やモルヌピラビルなどの抗ウイルス薬です。
なぜFIP治療中のステロイド使用は慎重に考えるべきなのか?
FIP治療が本格的に始まった後は、基本的にステロイドの使用を徐々に控えていくことが推奨されます。それには以下の大切な理由があります。
GS-441524の効果を正確に評価しにくくなるため
ステロイドによって「熱が下がった」「食欲が戻った」「元気になった」という変化がみられた際、それが新薬が効いているおかげなのか、それともステロイドで一時的に症状が隠されているだけなのか判断が難しくなります。これにより、本来必要な治療方針の評価や見直しが遅れてしまう可能性があります。
症状だけが改善して見えるリスク
ステロイドは強い炎症を抑える一方で、体の免疫機能を抑制する作用も持っています。新薬によるウイルスの抑制が不十分な状態で、ステロイドだけを長期間使い続けてしまうと、症状は一時的に改善しているように見えても、病態そのものの改善につながらない可能性があります。
本来であればGS-441524の投与量や治療方針の見直しが必要な状況であっても、ステロイドによって症状が見えにくくなることで対応が遅れてしまう場合があります。抗ウイルス剤による治療が十分でない状態でステロイドによる対症療法を続けると、結果的に治療方針の再検討が必要になるケースもあります。
現在のFIP治療の基本的な考え方
現在のFIP治療では、ステロイドで症状を抑え続けることをゴールとするのではなく、GS-441524によって根本原因であるウイルスの増殖を抑え、病態そのものを改善していくことが基本です。
発熱や食欲不振、眼症状、神経症状などがみられる場合も、まずは適切な量のGS-441524をしっかりと投与することで、根本からの症状改善を目指します。
また、治療中に症状のぶり返しや悪化(再び熱が出る、ふらつきが出るなど)がみられた場合には、安易にステロイドを追加するのではなく、GS-441524の投与量や治療方針が適切かを改めて評価することが重要です。
FIP治療期間中の現在ステロイドを使用している場合
「ステロイドが推奨されないなら、今すぐやめないといけないのか?!」と、保護者の自己判断で急に薬を中止することは絶対に避けるべきです。
ある程度の期間ステロイドを使用していた場合、猫ちゃんの体(副腎)は一時的にホルモンを作るのを休んでいます。その状態で急に薬をゼロにすると、抑えられていた炎症が急激に燃え上がったり(リバウンド)、体調を大きく崩したりするリスクがあります。
安全に薬を止めるためには、数週間かけて量を少しずつ減らしていく「テーパリング(漸減)」というステップが必要です。ステロイドの使用期間や投与量によって対応方法が変わります。そのため、必ずかかりつけの獣医師の先生と相談しながらテーパリングを行なっていきます。
Cloverでは「GS-441524」を用いた治療から、耐性/再発の高度な治療ができるように「モルヌピラビル」や「配合剤」まで幅広く取り扱っています。
「どのような製品が良いのか」「今の治療で大丈夫?」「再発してしまった」など
FIPについて気になることがあればいつでも相談ください 🙂
