こんにちは!Cloverです

猫伝染性腹膜炎治療のGS-441524やモルヌピラビル製剤の投与は、長期にわたる継続が不可欠です。今回の記事では、家庭で確実かつ安全な投与を行うため、「皮下注射」の具体的な手順を説明していきます!

過去2回の記事で、「皮下注射にあたり必要な準備物」「バイアルの取り扱い方」について説明してきました。これから準備を始めるという方は一度確認してみてください 🙂

皮下注射の原理と目的

GS-441524の投与は、皮膚と筋肉の間にある「皮下組織」に対して行います。ここには毛細血管が豊富にあり、薬液を緩やかに全身へ吸収させるのに適しています。確実な投与のポイントは、皮膚を正しく持ち上げて、皮下空間を十分に確保することです。

皮下注射投与の手順

① 穿刺部位の確保(テント形成)

利き手の反対側の手で、猫の肩甲骨付近の注射部位の皮膚をやさしく、かつしっかりと引き上げます。この際、指先で三角形の空洞(テント)を作るイメージで保持します。この「テント」内の空間が薬液を入れる部分となります。

② アルコール綿による被毛の処置と消毒

注射部位をアルコール綿で拭き取ります。

これは消毒だけでなく、被毛を分ける役割も果たします。特に長毛種や毛密度の高い個体の場合、地肌を露出させることで、針先が確実に皮膚に到達しているかを目視で確認しやすくなります。

③ 穿刺(せんし)の実施

注射針の切り口が上を向いていることを確認します。

猫の真皮層は非常に弾力があるため、ゆっくり刺すと逆に痛みや不快感が大きくなります。迷わずに一定の速度で、素早く刺入することが痛みを最小限に抑えるポイントです。
※針は全長の半分から2/3程度が入れば十分です。テントの反対側へ突き抜けることに注意してください。

④ 逆血確認と薬液の注入

針を入れた後、シリンジのピストンをわずかに引きます。

ピストンが元の位置に戻る: 正しく皮下空間内に入ったという意味。
血液が混入する場合、手応えがない: 血管への誤刺入や貫通の恐れがあります。一度、針を抜いて部位を変えて再度注射を打ちます。

正しく皮下空間内に注射針が入ったのを確認し、ピストンをギュッと押して薬液を注入します。

⑤ 投与後のケアとマッサージ

可能であれば、針を抜き、アルコール綿で穿刺部を軽く圧迫しながら、周囲を優しく揉みほぐします。GS-441524は粘性が高い場合があるため、マッサージを行うことで薬液の分散を促し、投与後のしこりや違和感を軽減します。

⑥ 投与後のご褒美

処置が終わったら、猫ちゃんが好きなおやつを与えるなど、大好きなことを思う存分させてあげてください。
注射により機嫌が悪くなった子も、機嫌が戻りやすくなります。また、治療に対する「負の記憶」を上書きすることが、長期治療を行う重要な戦略となります。

皮下注射の参考動画

言葉だけでは難しいと思うので、動画でも確認してみてください。

[参考:【ZenByCat】Dr. Pedersen demonstrating how to inject GC376 into Smokey from Sept 2016]


初めての自宅投与において、不安を持つことは当然のことです。注射を打つ回数を重ねるごとに慣れていきます。猫ちゃんたちも自分のために治療を頑張ってくれていると分かっているはずです。

FIP治療薬であるGS-441524製剤を通じて、一頭でも多くの猫たちが寛解を迎えられるよう、製品の品質向上と情報提供に努めていきます。共に治療を乗り越えていきましょう。

次回は注射治療において、多くの方が疑問に思うであろうことを一問一答形式で解説していきます。